司法書士法人みつわ合同事務所
相続
相続
相続登記とは
不動産を所有されている方がお亡くなりになると、その方から相続人へ名義を変更する必要が出てきます。このような登記を相続登記といいます。 亡くなられた方の名義のままで放っておいてもすぐに問題となることはありませんが、そのままにしておくと、数世代にわたる相続を一度に解決する必要があり、多数の相続人間で話し合うことになります。 なお、近年の動きとして、相続登記を放置した結果、所有者不明の土地が多数発生しているため、相続登記が義務化される方向で調整されています。 また、期限が定められている手続きがあるので、注意してください。 期限が定められている主な手続きは次のものです。
- 1.相続の放棄・限定承認
- 3ヶ月以内
- 2.所得税の準確定申告
- 4ヶ月以内
- 3.相続税の申告
- 10ヶ月以内
相続手続で最初にすべきこと
相続手続を始めるにあたって、まずやるべきことは、次の3点です。
- 1.遺言書の有無の確認
- 遺言書の有無が分からない場合は、公証役場で公正証書遺言の有無を 検索することができます。
また、法務局での自筆証書遺言保管制度というものがありますので、 法務局で保管の有無を調べることができます。
なお、自筆証書遺言の場合は、探して見つけるという他なく、 さらに、家庭裁判所で検認手続きをする必要があります。 - 2.相続人の確定
- 相続人を確定させるためには、亡くなった方が日本国籍の場合は、 本籍地の市区町村で戸籍及び、相続人の現在戸籍を取得しなければなりません。 これは、亡くなった方の生涯で、何名の子がいるのか、または子がいないのかを 確認するためです。
また、子がいない場合で、直系尊属(両親・祖父母)もいない場合、 兄弟姉妹相続になります。その場合はさらに、両親の出生から死亡までの戸籍を 取得しなければなりません。
具体的には最終の戸籍を見て、出生の年代のものまで遡って取得していくという 作業になりますので、戸籍の収集には一定の相続に関する知識と、戸籍の読み方 の知識が必要となります。 - 3.相続財産の調査・確定
- 財産のリストのメモを作成し、手続きをする財産に漏れがないようにします。
主なものは、現金、預貯金、株式、保険等金融資産、不動産、自動車、骨董品、 貴金属宝石類、電話加入権、ゴルフ等レジャー会員権等多くのものが該当します。 他に、借入金債務等の負債もマイナスの相続財産になります。
なお、みなし相続財産と言われる一定の生前贈与、遺贈の有無も確認するように します。相続分の決定や、相続税の申告に必要な財産かどうかを見極める際に必要 となります。
また、令和元年7月1日以降は、婚姻期間20年以上の夫婦における、居住用財産 の夫婦間贈与においては、みなし相続財産にはしない意思表示があると推定される 旨、新しく民法に規定されています。
相続方法の決定
相続の調査を終えたら、どのような形で相続をするのか、または、相続を放棄するのかを決定します。
- 1.相続放棄(限定承認)について
- 相続放棄(限定承認)は、3ヶ月以内に家庭裁判所に申述することによって、 初めから相続人とならなかったとみなされます。
ただし、相続財産を処分してしまったり、3ヶ月経過してしまうと、 原則として、相続放棄できないことになります。
しかしながら、単に3ヶ月経過したからといって、全く相続放棄が 認められなくなるわけではありませんので、その場合は、一度ご相談 ください。
なお、財産が多く、調査に時間がかかるなどの理由がある場合、3ヶ月の期間の延長を 家庭裁判所に申し立てることができます。
また、限定承認は、相続した財産の範囲内で、負債を弁済し、残った財産が あれば相続するという制度です。
しかしながら、共同相続人全員で、3ヶ月以内に家庭裁判所に申述し、 その後の手続きも厳格で時間もかかることから、ほとんど利用されることは ありません。
- 2.法定相続
- 法定相続とは、民法で定められた割合で相続することをいいます。
現行法では、配偶者と子が共同相続人である場合は、配偶者2分の1、子が2分の1、 子がなく、配偶者と直系尊属(両親、祖父母等)が共同相続人の場合は、配偶者3分の2、 直系尊属3分の1、子も直系尊属もない場合であって、配偶者と兄弟姉妹が共同相続人の 場合は、配偶者4分の3、兄弟姉妹が4分の1が法定相続分と定められています。
遺言で相続分の指定がない場合や、遺産分割がなされない等の場合、法定相続分による相続となります。
ただし、全ての財産が上記の割合で共有されるので、現金・預貯金のように計算で分けることができない、 不動産等は、共同相続人全員で共有することになります。
- 3.遺産分割
- 共同相続人全員の合意により、個々の相続財産の権利者を確定する手続きです。
全員の合意が必須条件とはなりますが、内容は自由に決定することができます。
相続財産を分け合う方法だけでなく、相続財産の売却代金を一定の割合で分けあう(換価分割)方法や、 一人の相続人が相続財産を全部取得する代わりに、他の相続人に一定の金銭を代わりに支払う(代償分割)方法 を協議の内容として定めることもできます。
相続手続必要書類
相続方法が決まれば、決定した方法に従って、必要書類を揃えて名義変更等の手続きを行います。 相続登記の場合は不動産所在地の管轄法務局に申請します。必要書類は、相続方法によって異なりますが、主に次のものが必要となります。
- 1.法定相続登記の必要書類
- 亡くなった方の出生から死亡までの戸籍
- 相続人全員の現在戸籍
- 亡くなった方の最後の住民票(本籍地記載)または戸籍の附票 (登記住所と最後の住所が異なる場合は、その住所変遷の経緯の分かるものが必要となります)
- 相続人全員の住民票(本籍地記載)または戸籍の附票
- 固定資産税評価証明書または納税通知書等で評価額の分かるもの (登記申請年度のものが必要となります。)
- 相続放棄者がいる場合は相続放棄申述受理証明書
- 司法書士に委任する場合は、委任状
- 2.遺産分割協議による相続登記の必要書類
- 亡くなった方の出生から死亡までの戸籍
- 相続人全員の現在戸籍
- 亡くなった方の最後の住民票(本籍地記載)または戸籍の附票 (登記住所と最後の住所が異なる場合は、その住所変遷の経緯の分かるものが必要となります)
- 不動産を取得する相続人の住民票(本籍地記載)または戸籍の附票
- 固定資産税評価証明書または納税通知書等で評価額の分かるもの (登記申請年度のものが必要となります。)
- 遺産分割協議書
- 相続人全員の印鑑証明書
- 相続放棄者がいる場合は相続放棄申述受理証明書
- 司法書士に委任する場合は、委任状
- 3.遺言による相続登記の必要書類
- 亡くなった方の死亡記載のある戸籍
- 不動産を取得する相続人の現在戸籍
- 亡くなった方の最後の住民票(本籍地記載)または戸籍の附票 (登記住所と最後の住所が異なる場合は、その住所変遷の経緯の分かるものが必要となります)
- 不動産を取得する相続人の住民票(本籍地記載)または戸籍の附票
- 固定資産税評価証明書または納税通知書等で評価額の分かるもの (登記申請年度のものが必要となります。)
- 遺言書(検認が必要な自筆証書遺言については検認済のもの)
- 相続放棄者がいる場合は相続放棄申述受理証明書
- 司法書士に委任する場合は、委任状
相続登記の費用
相続登記にかかる費用については、登録免許税、戸籍等の証明書取得費用、不動産の登記事項証明書取得費用、司法書士に依頼した場合の報酬等があります。
- 1.登録免許税
- 相続を原因とする所有権移転登記を申請する際に、申請する不動産の固定資産税の評価額の 1,000分の4(0.4%)を乗じた金額の登録免許税納付する必要があります。
例えば、土地・建物の固定資産税評価額合計が、2,000万円だった場合、登録免許税は8万円になります。
よって、弊所へお見積もりのご依頼いただく際には、お手元に対象不動産の固定資産税の評価額の分かるものをご用意いただきますようお願いいたします。
また、相続人以外の人への遺贈を原因とする所有権移転登記は、税率が1,000分の20(2%)となります。 - 2.戸籍等の収集費用
- 戸籍は本籍地の市区町村で取得しますが、何通必要になるのかは、人それぞれによって異なります。
戸籍は、婚姻や他の市区町村への転籍、また、改製という行政の手続きによって、その時に有効な記載事項だけを残して、新しい戸籍を作り直すという作業がされるためです。 そして、以前のものは除籍とういう形で保管されます。
よって、何回婚姻・転籍しているか、また、改製のタインミングによって、必要となる戸籍の通数が異なることになるので、人により戸籍の収集費用は変わってくるということになります。
戸籍の取得にかかる実費は現在戸籍は450円、除籍・原戸籍は、750円となっています。 - 3.その他の費用
- その他の費用とし、不動産を何個持っているかによって、不動産の登記事項証明書等の取得費用や、市区町村で固定資産税評価証明書を取得費用等がかかります。
また、司法書士へ依頼された場合のその報酬も費用としてかかることになります。 - 4.登記費用の具体例
- 以上でも、なかなか具体的なイメージを掴みにくいと思いますので、みつわ合同事務所へご依頼いただいた場合の、具体例をご紹介いたします。
ただし、あくまでも、想定事例限定のものとなりますので、個別の御見積については、お気軽にお問い合わせ下さい。
想定条件
- 管轄法務局:大阪法務局
- 登記申請件数:1件
- 不動産:土地1筆・建物1戸
- 評価額:2,000万円
- 相続人:配偶者1名、子2名
- 相続方法:遺産分割により配偶者が不動産を取得
- 戸籍・除籍等収集:10通・実費:1万円
- 事務所来所による手続
以上の条件による相続登記費用例
201,368円
(報酬・実費・消費税(10%)込)